まっしぐら

「お笑いヤングバトル」の巻

2年ほど前から i-book を使っているがたぶんその機能の98%ぐらいは未使用のまま。
思いきり宝を持ち腐れている。約一年間電話線に繋いでいなかったのでメールアドレスを
取得するまでは自慢の i-bookも丸みを帯びた派手なワープロにすぎなかった。
ヘルプを読んでもその用語が理解できない。
「プラウザのスクリプトがネスケの4.7 でユーティリティにアピアランスを起動する。」
そんな文章を読むと頭の中心がズキズキしてくる。案の定オレはバカなのだろう。
超個性的な運転をする中年女性にエンジンブレーキの必要性や
キャブレターの仕組みを理解させる方が絶対に楽だろうなとオレは推測する。
我が家にi-bookが登場するまではとてもおバカな非常に古いタイプのワープロを愛用していた。
彼の変換センスには何度も爆笑させられた。
以下の文章はそのワープロ君との最後の夜を記録したものだ。

『色々世話になったけど一緒に仕事をするのは今夜で最後になりそうだな。ありがとな。
さあ時間もないしさっさと終らせようぜ。な。よし。えーと。「やくざいし」っと。
変換。ピッ。「ヤクザ医師」。おい。「薬剤師」だろ。何考えてんだよ。
「師」しか合ってないじゃんか。確かにそんな輩も世間にはいるだろう。
点滴の分量を間違えたりインチキ薬で法外な医療費を請求するような
「ヤクザ医師」もさ。でもキミはワープロであってニュース23の筑紫哲也ではない。
告発している場合じゃない。締め切りが近いんだ。
なあワープロ君よ。確かにオレは爆笑した。かなりいいギャグだと思う。
尾和雷ヤング場取る。あ〜またやったな。お笑いヤングバトルだろ。なんだっけ?
そのNHKのお笑い番組に出てもいい線いけると思う。
しかしキミの役目はオレの真意を正確に理解して変換をし
スピーディーにプリントアウトすることだ。それとも今の仕事に飽きたのか?
やっぱお笑いか?でも芸人も結構食えないらしいぞ。テレビに出てても新人なんか
ほとんどバイトしてるらしい。なあワープロ君よ。お互いもう若くない。
分相応の夢を見ようじゃないか。夕べキミのそばでマックのカタログを眺めてたのは
悪かった。でも時代は変わるんだ。ボブディランもそう唄ってるぞ。
それにキミは白黒印刷しか出来ないしインターネットとか無理だろ。
えっ?努力すれば何とかなるって?そうかなぁ?芸人になるより難しいと思うぞ。
うーん。一応ビックカメラで聞いてみるけどさ。なあもう夜も遅い。そろそろ寝よう。
今夜からキミの新しいベッドは押入れのファミコンの上だ。ちゃんと掃除しといたぞ。
じゃおやすみ。電源切るぞ。またな。プチッ。』


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