毒舌(どくじた)
第一回 第二回 第三回
第四回 第五回 第六回

■毒舌〜どくじた 第一回

寺田町氏の突然の依頼によりカオルは「毒舌」というコラムを連載する。
高校を立派に卒業しているカオルは当然「どくぜつ」と読むことを知っているが
あえて「どくじた」と読んでもらいたい。
なぜ?と言われても困るので訊かないで欲しい。
この不確実で野蛮な世界で暮らしていると困ることが多いのでこれ以上困りたくない。

第1回目は「寺田町について」というテーマをもらった。さて困った。
だってそんなことは寺田町通信を精読しているファンの方が御存知のはずだ。
この場を借りてカオルの自己紹介をしようかなとも考えた。年齢・性別・弱点など。
でも謎は少しづつ解けていくのがカオルの好みなのでこれもやめよう。
現時点ではカオルは横浜のチンピラ詩人だと理解していただければ良し。

じゃあ今回は寺田町の「死に様」について考えてみよう。
アイツももう長くない。たぶんあと100年も生きられないだろう。可哀想に。
まず自殺の線は排除しよう。理由は訊かないで欲しい。困るって言ってんだろ。
貧乏なので飛行機には乗れないので墜落死もなし。
寺田町は確か空中浮遊もできるので地震もクリアするはずだ。
戦争嫌いなので戦士として戦死もなし。
ウイルスやガンの可能性は高いが華々しさに欠けるのでこれだけはやめて欲しい。
色恋沙汰の痴情のもつれによる他殺などはとても良いと思うのだが
寺田町を取り巻く女性達がとても立派なのであまり期待できそうにない。
となれば残るは白鯨に飲み込まれ寿命が尽きるまで七つの海を漂う。これしかないだろう。
ブルースを歌う白鯨を見かけたら腹の中で寺田町はまだ生きていると思って欲しい。


■毒舌〜どくじた 第二回

寺田町へ遊びに行こうと思って横浜から東京辺りまで出向いたのだが迷ってしまった。
案内板を見てもそんな駅名はないし第一東京には路線が多すぎるのだ。
売店で風船ガムを買った。ワタシは味が無くなるとすぐにガムを捨ててしまう。
寺田町には大きすぎるビルディングはないだろうと見当をつけて
程よく寂れた駅で降りてみた。人のよさそうな売春婦がいたので尋ねてみたのだが
ニヤニヤ笑うばかりでさっぱり要領を得ない。彼女の唇は神様によく似ていた。
日が暮れかかった頃運良くたどり着けたのだがなるほど現を抜かせそうな町であった。
とても気分が良かったので唄をつくってみた。こんな唄だ。

寺田町へ行く  2000 4/12 当然寺さんに捧げる

寺田町へ遊びに行こう
ちょっと暮らしてみたくなるような気楽な町さ
行き止まりの公園で
途方に暮れるのにちょうどいい高さのベンチに座って
アクビでも連発するのさ

寺田町へ遊びに行こう
金なんかなくても気にすることはないさ
懐かしいあの店で
ピアノを鳴らして情けないブルースでも唄えば
誰かが一杯飲ませてくれるさ

寺田町へ遊びに行こう
すり減ったレコードみたいなモノクロの町さ
オンボロのメロディーは
針が飛んでつっかえてノロノロとくり返すけど
古くていいモノには傷があるもんさ


■毒舌〜どくじた 第三回

寺田町は元気だろうか。
便りがないのは元気な証拠というが小学生ではあるまいし
オレの心はすっかり汚れてしまっているのでそんな根拠のないことを鵜呑みにはできない。
3年ぶりに連絡のあったある友人など店を1件つぶし離婚して借金で大ピンチ。
さらに別の久しぶり友達は新興宗教に夢中になっていて元気といえば元気なのだが
カオルさんもうすぐ日本に神の審判が下りますなんてそんな元気オレは絶対に認めない。
まあそいつの言うことがもしも本当で日本に審判が下ったとしても
顔の広いオレ様は携帯で金星に電話して迎えに来てもらうので全然オッケーだ。
ちなみに寺田町が元気であることのバロメーターは飲酒量に比例する。
ペリエとか飲んでいる寺田町を見かけたらオレの代わりに蹴飛ばして欲しい。

前略寺田町。そして潤さん。
飲んだくれていらっしゃいますでしょうか。
わたくしは近年まれにみる元気でございます。
エアロビクスやフットサルをするほどの元気ではありませんが
ひと晩に2回ぐらいできるほどの元気であります。
今年こそ寺田町&橋本ユニットとの共演を実現したく
いろいろたくらんでおります。また連絡します。 地球より愛を込めて。カオル。


■毒舌〜どくじた 第四回

詩人は長生きするそうだ。
ある対談集で宗教学者中沢新一氏がそう言っていた。

「詩はあまり売れないし詩人は働かないから貧乏だけど余分なストレスを感じることも少ない。
 そして詩人は原稿用紙の升目を小説家のようにピッチリと埋めなくても
 下が空いていてもいいというのが詩人を長生きさせる秘訣」
要約すると大体こんな感じになる。

確かにオレのこのコラムも右側ガラガラ。全然気にならない。
ただでさえ狭苦しい世の中だ。贅沢にいこうぜ。

偉大なる落書き野郎ピカソは80歳代で3人目の奥さんと子供を作った。
80歳の寺田町。橋本潤。そしてカオル。不良老人。真っ白なヒゲ。
どんな衣装を着て唄うのだろう。革パンの下にはやはりオムツか。
こだわるロッカーのことだ。革オムツかもしれない。
客席もものすごい状況になっているだろう。スタンディングなどあり得ない。
耳が遠くなっているのでものすごい音量でスピーカーは鳴っている。
老人は動きが悪いので50人程度の客入れに2時間以上かかるはずだ。
「前売りチケットはお持ちですか?」「え?なんですか?」
「ま・え・う・りはもってますか〜」「あー。ありますよ。ちょっと待って下さいね」
かばんをゴソゴソ。なかなか見付からない。東京都老人無料パスの間に
挟まっているチケットを発見するまでに約5分。
同様のことがドリンク代受け渡しの時にもくり返される。
さらにそのライブハウスが地下深くにあった場合の惨状は言うまでもないだろう。
カリスマボーカリスト諸君。「死ぬまでロックンロール」なんて
軽々しく言ってはいけない。若い受付のバイト君が途方に暮れているぞ。

オレは老後の対策としてすでに座って唄い
早い曲は唄わないようにしている。先見の明があると誉めて欲しい。
とにかく「チンピラ」の銀ボールをたたくとき
寺田町が骨折しないことを切に祈る。


■毒舌〜どくじた 第五回

オレはオトナだ。
立派じゃないけどオトナだ。
よく「カオル。大人気ないことするなよ」といわれる。
子供には大人気ないことは出来ない。
だからオレは大人だ。
普通の立派な大人は家を買ったり結婚して子供を作ったり
老後にそなえて保険に入ったリ選挙に出かけたりする。
オレは保険は自分が負けるほうに賭けるみたいで嫌なので入ってない。
結婚にはよい面と悪い面がある。
よいところは「ずっと一緒にいる。」というところ。
悪いところは「ずっと一緒にいる。」というところ。
個人的には一夫多妻やその逆も別にいいんじゃねえのと思っている。
ほとんどが白紙投票だったが選挙には以前よくいっていた。
特に応援する政党はないが政教分離の原則が好きなので
なるべくヒモのついていない人や政党を選んでいたが最近は面倒くさくて行ってない。
コンビニで投票できるようになればよいのにと思ったりもする。
夜中に働いている人が沢山いることをゴージャスな支配者達は知らないのだ。

支配者や愚かな権力と闘うためにピカソは筆を持ち
寺田町やカオルは唄ったりピアノを弾いたりする。
最後に自分の宣伝で恐縮だがカオルは12月26日(金)渋谷7th floorでワンマンライブをやる。
題して「詩人は夜明けにガムを噛む〜発売1周年記念ライブ」だ。
ご推察の通りあまり売れてないのでもうちょっとプッシュと。
まあとにかく吠えるカオルを見て皆様はこうしちゃおれなくなるであろう。


■毒舌〜どくじた 第六回

「時々すべてが無意味に思える」

これはわたしの「ジェネレーションズ」と言う歌詞の出だし。
唄うこと・生きること・万が一金持ちになったら。
本当にすべてが虚しく思えるときがある。

そしてこう続く。
「それでもボクらは唄を作る」
唄を作ることがオレにむいているのか才能のようなもののカケラでもあるのか。
それすら認識できていないけどやっぱり唄を作る。

さらにこう続く。
「そういつの間にか小さなキズが増えたけど
 かまわないさ歩いていくんだぜ」

キズがカサブタになり随分タフになったつもりだと思ってたけど
ささやかなことでヘコんだり世の中の矛盾に軽く絶望してしまうときがある。
オレの友達は安い給料でこき使われてるし
可愛いあの娘をキズつける理不尽な事件も多いし。
だからすべてが無意味だとしても闘わねばならんのだろう。
友人やあの娘が笑う瞬間を少しでも増やすためにな。
なあ相棒。寺田町よ。潤さんよ。
いまさら生き方変えるわけにはいかねーんだよな。
旗振った以上やるしかないんだよな。
ヤツらにひと泡吹かせるしかないんだよな。
雪が降っているよ。すべてを白く塗り替えてくれりゃあいいのになあ。


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