詩人バッカ
1:ハロー 2:戯言 3:推測 4:暴言 5:イライラ
■詩人バッカ初日 主謀者カオルのハロー

「詩人」の定義ってなんだと思い辞書(広辞苑)をひいてみた。
詩人=詩を作る人。詩を解する人。と書いてある。そりゃそうだ。
異論はないがつけ加えたい。詩人とは弱虫でダメ人間で大量のお酒を飲む人。
その日が何曜日なのか分からない人。ささやかに戦い続けてはいるが
団体行動が苦手なため負けることの方が多い人。まあそんなもんだろう。
だいたい30過ぎて詩なんか書いてる奴はロクなもんじゃない。ロックではあるけどな。

話は突然飛ぶ。ピュー。
辞書で「しじんー詩人」の項目を捜していたら「ししゃもーシシャモ」のところに
赤鉛筆で線が引いてあるのを発見した。この広辞苑はオヤジからのプレゼントなので
たぶん犯人はノリヤス(カオル父)だ。わざわざこんな言葉に線引くか?理解不能。
あぁオレはシシャモの項目に赤鉛筆でマークする様な男の息子。4月で36歳。
複雑な想いを抱えながらオレは「しじん」のところにマーブルインク(水色と紫)の
ボールペンで線を引いた。その不可思議なDNAを守るために。

このイベントを始めようと思った動機はそんなに立派なもんじゃない。
とても寒い日にやっとベッドから抜け出してそろそろ飯でも作るかなといった感じだ。
  
それなりのスピードでノロノロと。漠然とした目的地に道草をしながら。
ヘタクソな字で街角に落書きをしながら。デタラメな鼻唄で恋をしながら。
それほど多くはない理解者をかき集めてヘボ詩人どもは歩き始める。
設計図の無いちゃちなプラモデルをチビチビと組立てていく。
転がる形に出来上がればいいな。それは欲張り過ぎかな。

次回は暖かくなった頃にやろうと思ってる。
気に入ったらアンケートを書いてってくれよ。連絡する。
そして出来ることなら仲間を連れて遊びに来てくれ。
詩人はとても寂しがり屋なんだ。

2000 1 24 薫風丸


■詩人バッカ2日目 主謀者カオルの戯言

「うまく言えない」とか「言葉に出来ない」等のセリフは
詩人にとっては禁句である。
あの時の痛みやアレの時のムードなんかを
何とか言葉にしなくてはならない。そう。形にしなきゃなのだ。
でもなかなかうまくいかない。ツラい。少し恋と似ている。
ノートや割りばしの袋なんかにポッソリ何か書く。
後で読み返してみると使えないのとか
なんじゃこれとかいうのも沢山ある。
陶芸家の人はそういう駄作を叩き割ったりするが
詩人はそういうことをしない。ビンボーで勇気がないからである。
でもたまに割りばし袋のメモとあの娘の言葉とかが絡まって
突然完成したりする。うれしい。言葉のリサイクル。
地球に優しい詩人バッカ。

ところで詩人ほど元手がかからない商売はないと思う。
ペンとノート。250円ぐらいあれば誰でもなれる。
試験も資格もいらない。頭を下げたり満員電車に乗ることもない。
でも何故か腹は減るし金はない。それが謎だ。
しかしそんなに心配することはない。
長く詩人をやっているとタバコとキスとアルコールだけで
生きていけるようになるのだ。マジで。

2000 4 13 地球にて 薫風丸


■詩人バッカ3日目 主謀者カオルの推測

「バッカ」とはどういう意味なのかとよく聞かれる。
「詩人はバカ」でもいいし「詩人バッカリ」の略でもある。
個人的には「バッカ」という名前の酒がありそうな気がしている。
ギリシャの船乗り達なんかが好んで飲む安い酒だ。
もちろん推測だ。想像は誰にも止められない。思うだけならいいだろ。

ところで人類が最初に話した言葉はなんだろう。
オレは拒絶とか威嚇・警告に関する言葉じゃないかなとまたもや推測する。
短くて強い言葉。「NO」「イヤ」「だめ」「STOP」そんなタイプの言葉。
だって危険が迫っていたり食料が奪われそうな状況の時に
たとえば「ヒビリッパ・デラス・ボルガマリーチェ!」なんて言ってらんねぇだろ。

逆に「ありがとう」という感謝の言葉を使うようになったのは
ずっと後になってからじゃないのかなとオレは推測する。
自分が生きていることで精一杯で他人に感謝されるようなことを
やっているヒマなんてなかったのではないか。
クリスマスプレゼントもクロマニヨン人にはなかっただろうし
「これグアムのおみやげ。みんなで食べて。」というシチュエーションも
なかったはずだ。猿やハエやネコがお礼を言ってる所なんて見たことない。
エサをあげても当然という態度をする。でもあげないと怒る。

もしも言葉がなかったとしよう。
それでもヒトは嘘をつくのだろうか。

もしも言葉がなかったとしよう。
詩人は何をするのだろうか。
オレはたぶん途方に暮れるだろうなと推測する。

でも言葉はある。
だから詩人は嘘をついたり詩を書いたりするのである。

2000 4 13 地球にて 薫風丸


■詩人バッカ4日目 主謀者カオルの暴言

首謀者であるカオルは毎回コトバや詩人に関する事をテーマとして
戯言・推測なんぞを書いているわけであるが今回は俳句とコンピューターについて。

ある夜ある女性とある話をしていて発見したことがある。
「コンピューターワールドにおいて俳句は既に限界に達している」ということだ。
五・七・五のルールがある以上昔々数学で習った順列とか組み合わせで
全ての俳句はコンピューターで出来ちゃうのである。分かりやすく言おう。
ダンボール箱を17コ用意する。五・七・五のブロックに分ける。
それぞれの箱に「あ」から「ん」まで書いた紙を入れる。
「が」行や「ぱ」行なんかも当然含める。カタカナを入れちゃっても可。
そんでもって端から一枚ずつクジ引きの様に選んでいく。
それでOK。「みりまけて ひふてばばんか ぺけもさく」なんて凄いのが出来る。
運が良ければ「のみすぎて こしがくだける あさぼらけ」 薫風丸作。
なんとなく意味が通じそうなのも出来たりする。
こんなアナログ作業をしなくてもコンピューター君は一瞬で全部やれる。

俳句愛好家の皆様にはガン告知と同じくらいつらいけど
あなたが知らないだけで五・七・五のルールを守る限り全ての俳句は既にあるのだ。
「あああああ あああああああ あああああ」がNO.1で
「あああああ あああああああ ああああい」がNO.2になる。
最後は「んんんんん んんんんんんん んんんんん」ということだ。
『ん』で始まるコトバなんてないぞ。知ってるよ。そんなこたぁさ。便宜上だよ。
「お湯が沸いたよ」「オイオイ沸くのは水だろ」なんて言う奴と同じだぜ。
オマエきっとモテねぇぞ。とにかくもう俳句は限界だって事。

彼女は「なんだか淋しいっすね」とか言ってたけど
オレは「やっぱりルールなんぞに縛られてるとロクなことないんだな」と
あっさり思った。

汝 テクノロジーを毛嫌いするなかれ。 しかしテクノロジーを盲信するなかれ。

結論。排ガスが少ない低騒音のエコロジーカーだって
飲酒運転したりアクセル強く踏めば人間をひき殺せるのだ。
ムチャクチャな結論なのはわかってる。でもいいのだ。
ルールなんか守らないと決めたばかりだから。

2000 6 29 薫風丸


■詩人バッカ5日目 主謀者カオルのイライラ

様々な問題を抱えた夫婦やカップル。その愛人や元恋人。
そんな不器用な人々にアドバイスをする芸能人達。
モザイクあり。生命保険のCMあり。
先日オレはその手のテレビ番組をじっくりと最後まで観てしまった。よせばいいのに。
当然の事ながら途方に暮れた。もちろん二度と観ない。
とても巧妙な暴力の匂いを感じた。言葉の暴力。
臆病な詩人であるオレは暴力の匂いにとても敏感なのだ。クンクン。
なんか臭いぞ。危ないぞ。操りの糸が見えらぁ。

愛していた人や恋する人の話。守るべき子供達の未来の話。
詩人にとっては非常にいいテーマなのにオレはなんの詩も浮かばなかったぞ。
たぶんそこには愛とブルースと思いやりがなかったからだ。
優雅な正論。無個性にフェイクされた言い争いの声。
出来合いのモラルに寄りかかった自己主張。クソ食らえ。
不自然な議論や人生相談もガキ共のアホな犯罪も好きじゃない。
オレが好きなのはキスと秘密とチャイナタウンだ。

そうオレにはたくさん秘密がある。グレーゾーンだ。
ある極端と極端を結びつけるためにはグレーゾーンが必要だ。
だからオレは自分の秘密を詩という形の暗号でばらまいている。
間違って解読されたくないし伝わればいいなと思うけど。
基本的にはまぁ知ったこっちゃねぇ。そんなとこかな。

2000 8 30 薫風丸


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