最後のアジト




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最後のアジトact.4 「真夏のアジトにオゾンホールブルースを」

今日もプールへ行ってきた。
クーラーのない横浜一暑い部屋で暮らすチンピラ詩人カオルにとって元町プールは夏季限定版最後のアジト。
もちろん 8月の話。まさかスポーツクラブに通ってると勘違いされてたりしてな。だとしたらぞっとするぞ。
オレが幾らアホでも会員になってまで季節外れに泳いだり不自然な筋肉を付けるほど無粋な男ではない。
基本的にオレは重力と時の流れには逆らわないようにしているのだ。
余談になるが重力に逆らうことポリシーとしている明和電機というバンドは逆さ吊りでライブやっているらしいが
そういうのは結構好きだ。あと宙に浮いてる方が長そうなジャンプしまくりのパンクバンドとかもよい。
「お〜飛んでる飛んでる」ってな。これが出る頃は秋。分かってる。
しかし熱風吹き荒れセミ達のラストブルースが響く部屋で秋仕様の文章を書くなんて離れ業はオレには無理。
なのでプールの話。元町プールは中華街を抜けた外人墓地のそばにある。
(ふと思ったんだけど外人墓地って差別用語になんないのか。)
水の中でプカプカと流れに身を任せ直線のない空と誰のものでもない雲を眺めていると
なんだか身も心も正しい状態にリセットされていくような感覚になる。そう。
空は人間の分際で飛ぶもんじゃなくひたすら憧れるものなのだ。プールサイドに寝そべって隣のねーちゃん達が
鳴らすレゲエを聴きながらガンガン直射日光を浴びる。心のジメジメしたところを乾かす訳だな。知ってるよ。
紫外線の危険な噂。オゾンホールでシミが皮膚ガンとかそういうやつだろ。でも気にしない。
太陽はずっと昔から光輝き世界に命を与えだけどオレ達大気に穴開けちゃって今さらヤバイですとかあんまりだろ。
例えるなら夏の遠足で母ちゃんが作ってくれたオニギリが暑くて腐りそうで次の日腹壊すかなでもオレは食べちゃう。
例えになってない気もするがまあいい。夏に理屈をこねろというのが間違ってる。
夏は身を焦がすような恋に落ちチャイナタウンで秘密を作りそれぞれの隠れ家で冒険の計画を立てるものなのだ。
で秋は何をするのかというとそれを発表するにはこのペースで行くと12月号辺りになりそうだ。
その日まで我々は戦火をくぐり抜け生き延びることを誓おうではないか。ミンミン。