最後のアジト




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最後のアジトact.6 「ストレス列車に詩人の涙を」

朝8時横浜駅のホーム。普段ならオレは満員電車をパスし我慢できそうな混雑状況の車両を待つがその日は違った。
どうしても9時までに渋谷某所に行かなくてはならない。覚悟を決めなるべく柔らかそうな列の最後尾を選び
途方に暮れる。ウォークマンではトムウエイツがオレに同情するように唄っている。
「〜寂しい停車場でオレは自分をブルーに塗った。」特急が来た。動物には攻撃距離というのがあり
それを越えて近づくと敵と見なし攻撃する。オレ達だって他人に妙に近づかれると気持ち悪いしストレスが溜まるので
一定の距離を保とうとしている。朝のニュースで人間の尊厳がどうのこうの言ってたけどそんな一切合切が
ここでは通用しない。オレ達は紙屑のように教育者もマネージャーも売り子も役人も実も蓋も一緒に押し込められる。
苦しい。しかし誰も騒がない。よく訓練された兵士のスタイルで静かに目を閉じている。おいみんなどうしたんだ。
革命するんじゃなかったのか。それとも骨抜きにされちまったのか。
自由ケ丘でMDの電池が切れメロディーはゆがみ始める。チンピラ詩人カオルは断言する。これは間違ったことだ。
こんなこと繰り返してたら絶対にどこかおかしくなる。変な趣味が増える。ストレスとは解消するもんじゃなくて
そもそも感じないようにするものだろ。なあボス。アンタの子分は毎日ヒドい目に遭ってるぞ。
何とかしてやんなきゃヤバいんじゃないのか?オレはまだいい。たまたま野暮用で乗っただけだからな。
その野暮用というのはレコーディングでなんとか年内に発売するつもりだ。WHO'S WHO以来10年ぶりのCD。
早起きした甲斐もありなかなかよく録れた。タイトルは「詩人は夜明けにガムを噛む」。ちなみにガムは永遠の象徴だ。
発売記念ワンマンライブは12月27日渋谷7th floor でやる。人込みが嫌いなカオルもこの日ばかりは大混雑を願う。
疲れた仲間を連れて最後のアジトに全員集合。これは命令だと思ってくれてかまわない。
キミのブルーなハートを癒すことは出来ないかもしれないがボスの悪口なら言ってやる。