最後のアジト




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最後のアジトact.7 「恋の終りにスーパービッグバーガーを」

アロハ。新年早々だ。説教臭い話は野暮ってもんだ。
で今回はチンピラ詩人カオルが密会などに利用する横浜駅西口のアジトThumbs Upの
スーパービッグバーガー(以下SBB)のお話。
先日ある女性(口説き中)と密会していて軽くなんか喰おうぜっ
ということになりThumbs Upへ行った。
「すごくデカいバーガー」という安直なネーミングも気に入りSBBを注文した。
(今思えばウエイターが含み笑いをしていた気もする。)シナリオはこうである。
非常ベルより少し大きいバリ島サイズのハンバーガーを寄り添いながらスマートに切り分ける。
『ハイ大きい方はキミね。』『あなたって優しいのね。ポッ。』『キミの美しさがそうさせるのさ。
ベイビーそれよりほっぺにピクルスがついてるぜ。』『まあどうしましょう。少し酔ったのかしら。』
『取ってあげるから目を閉じて。チュッ。』こんな感じである。下心満タンである。
しかしSBBが運ばれてきた瞬間オレは戦略の変更を余儀なくされた。ヤバい。デカ過ぎる。口説いてる場合じゃない。
戦争だ。これは長い戦いになる。スレンダーな彼女とふたりで太刀打ちできる相手ではなく
たまたま店に居合わせたハラペコバンドマン2名に援護射撃を要請しかろうじて勝利を収めた。
とにかくデカいのである。
あまり克明に書くとあなたが注文した時のショックが減ってしまっては興醒めだ。
結末はバラさないのがミステリーのルールである。
雰囲気だけを伝える。それはかなり重力に逆らった形で運ばれてくる。
「ピサの斜塔に憧れているビッグマック3兄弟がフライドポテトの丘で肩車をしている」
といったダリの悪夢のような光景を
想像してもらいたい。百聞は一見に如かず。オレが嘘つきでも大げさでもないことがわかる。
くれぐれも警告しておくがあなたが満腹中枢に異常のある人間か
プロレスラーでもなければ絶対にひとりで注文してはいけない。
もしもあなたが自殺を検討中で「世界中の難民から呪い殺される」という方法を望んでいるのなら話は別だが。