最後のアジト




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最後のアジトact.01 「傷だらけの天使に密造酒を」

ヒーローは常に悪に狙われている。ヒーローには無数の傷跡がある。
もし傷ついた数だけマイレージが貯るとしたら
世界を7周半ぐらい出来るんじゃないかなとチンピラ詩人カオルは考える。
この場合ヒーローとは心優しきあなたのこと。誰もがそのささやかな個人的人生においては主人公。
様々な波乱万丈を乗り越え最終的にはハッピーエンドを迎えるのが主人公の役目。
だとすれば物語の途中であっさり殺られるわけにはいかない。
視聴者だって怒るだろうし素敵なラブシーンもまだやってない。あなたのシナリオは順調に進んでいるだろうか。
そして御推察の通り悪人とは地雷を埋めたり犬や猫をいじめたり亡命者を追い返したり
トイレにカメラを仕掛けるようなやつらだ。
ちなみにノラ猫を殺しても罪にはならないらしい。飼い猫に限り「器物破損罪」が適用される。
やつらにとっては猫もただの財産。そういえば立派な猫にはちゃんと値段がついてんな。
我々は毎日そんな悪行に悩まされシナリオにケチをつけられ
丸め込まれ波の音のCDやアロマテラピー程度じゃ癒されない傷が増えていく。
もしあなたが理不尽なことにも「まあ仕方ないそれが世の中だから」的な発言をしていたら
悪に染まりかけてる証拠だ。やばいぜベイビー。
ちなみにやばいという言葉はこんなケースで使用されるのが正しいとチンピラ詩人カオルは思う。
こんなはずじゃなかったよな。昔みたいに何かやらかそうか。真の勝負パンツに履き替えて。
禁酒法時代のアメリカではモグリ酒場のことを speak easy と呼んでいた。
そこには仲間しかいないので声を潜める必要がないからだ。我々にもアジトが必要だ。
悪人共のリストには載ってない最後のアジトが。
そこで我々は新たなる戦いのために傷を癒しシナリオを再度チェックする。
仮面をはずし秘密を分け合いたっぷりやつらの悪口を言う。放送禁止の唄をがなり密造酒に酔いしれハメをはずす。
気が向いたら革命でも企てカッコいいデザインの旗を作る。
ちなみにそのアジトで唄うのがチンピラ詩人カオルの役目だ。あなたが望むなら最後のアジトの地図を送る。
仲間にも教えてあげて欲しい。当然そいつが猫であっても構わない。
我々のルールはひとつ。どんなに激しいノックの音が聞こえても例えダイヤモンドをチラつかされたとしても
合言葉と愛の言葉を知らないやつには絶対に扉を開けてはならない。