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新・最後のアジトact.19 「月の裏側の極秘会議に猿回しの猿のため息を」
上空に輝く月の裏側にある「高級ホテルの最上階スイートルーム」で定例の会議が開かれている。
出席者は地球担当の神さんと悪魔さんをはじめ若い天使や「都市」や精霊達。
「さてと。まずでっかいヤツからやっつけましょうか。じゃまず自然災害ね。
去年はスマトラで津波やったでしょ。今年はパキスタンとジャパンで地震。
そんでもってアメリカでハリケーン連続でしょ。次はどこで何しましょうか?」
「あの。いきなりなんですが。そろそろフジヤマドカーンってのはどうでしょう?
今年のクリスマス辺り。あ。除夜の鐘の時ってのもインパクトあると想うんですが」
「フジヤマね。う〜ん。私は個人的には年内ジャパン放っておこうかなと。自然災害はね。
逆に『理由なき犯罪系・小競り合い』は多発で。でもこれはあとで。人的災害の部で」
「じゃ関東大震災どうですか?来年アタマでも。
先日『耐震構造インチキビル』を露呈させましたよね。せっかくだからその流れで」
「キミはなにもわかってないな。若いから仕方ないけど。アレはね。経済大混乱の伏線だよ。
株価急激に落とすのよ。7000円台ぐらいまで。ドルも元もガッタンガッタンにね」
「ちょっと話がそれてきたね。
よしボクは本日この後も他の会議なんかで予定びっしりだから議長権限で結論出しちゃうよ。
『年内から年明けは世界各地で震度4くらいの地震多発。
そして1月に大雪でジャパン都市機能マヒと夏が来る前に水不足』ね。
この線で様子を見よう。地球人のビビり方によってはオーストラリアにも豪雪ね」
「了解です。じゃ次は『性犯罪の被害者と加害者の抽選』をしたいと想いますが」
「あのう。ロリコン関係もありふれてきちゃったんで『連続大量殺人系』はどうでしょう?
確かに古い手といえば古い手なんですが逆にいま新しいと想うんです」
「ふむ。アリかもね。よし。許可します。場所・時期・内容など詳細は報告書を提出して下さい。
必ず『連鎖・模倣犯続出』を要素に入れてね。それと宗教系はもうイイでしょウ」
「スイマセン。わたくしも時間がないので先に議題提出したいのですが『核・戦争関係』の方を」
「キミは懲りないね。また核かね。アレはなしだって決めたでしょ。
地球はあと40億年は存続させると。核はちょっと作らせすぎちゃったから。
まあ前任者のミスなんだけどね。とにかく核やっちゃったら他の惑星まで影響出るから。
ボクが議長の間はなし。イラク戦争泥沼化で充分。
それに南アフリカの内紛と北朝鮮絡めればバッチリ。『現状維持』っつーコトで」
こんな愚にもつかない想像をしてみた。
というかカオルはかなり昔からこういう「会議」みたいなモノがあるんじゃねーのかと。
スマトラの時とずいぶん前の宮崎君事件・オウムサリン・神戸大震災などの時にも想ったんだけどさ。
ライブのMCなんかでもよくブーたれてるけどさ。
「被害者と加害者」「被災地」なんかの「選ばれる基準」がまったくわからんのですよ。
なぜあの少女が殺されねばならなかったのか。
加害者はなぜ「そういう性格」に生まれ実際に「事を起す」ハメになったのか。
スマトラもそう。あの10万人を越える犠牲者に共通点はあったのか。
様々な宗教の熱心な信者もいたはずだし。
テレビのニュースで自動車事故の現場なんかが写されるでしょ。
ハンドルの辺りに「交通安全のお守り」なんかがあるのを見ると息苦しくなっちゃうんだよ。
それが「巻き添え」だったりすると余計にね。
カオルは結局のところ「傍観者」であり「自分がシアワセなら」と想っている。
ちょっと余裕のある時は「お友達やカオルを応援してくれるヒトはみんなシアワセに」と。
さらに上機嫌の時には恥ずかしく愚かにも
「地球上のすべての生き物がシアワセでありますように」と声に出して言ったりもする。
けっこう本気なんだけど最終的に「壁にブチ当る」んだ。それはね。
「シアワセってなんすか?」ってコト。「平和ってなんすか?」ってコト。
ぜんぜんわかんないの。いっくら考えても。
地雷も踏まず監禁も虐待もされずに好きなことを唄ったり書いたりできるカオルの状態を
「シアワセ」と言っても過言ではない。
だけど「なんかなあ。もっとさあ」とか欲張ってしまうのも日常。
「平和」の定義が「戦争のないこと」だったら哀しすぎる。
だってジャパン戦争ないから平和なのかよ。あ〜ん?と。
ちょっと長くなったな。「次の会議」があるから疑問を残して去るけどさ。
9月11日にカオルはワンマンやったでしょ。
150人近くも集まってくれてバンド kaoxもいい演奏出来てイベントとしては大成功だったと想うの。
だけど「メッセージ・平和と戦争についての疑問」の「波及効果」に関してはどうだったのか。と。
カオルは「猿回しの猿」のクセに生意気だけど最近こんなことを考えているのです。
おしまい。
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