新・最後のアジト




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新・最後のアジトact.27 「輪廻転生のウイルスに日なたぼっこのララバイを」

生まれ変わり。輪廻転生。
こういったものにカオルはあまり興味がない。というかわりと懐疑的である。
素朴に想う。「生まれ変わりがあるならなんで人口増えてんだよ」と。
しかしこうも想う。もしかするとタマシイは分裂するのかもしれないし。
「地球の生命体の総数」は決まっていてネコが人間になったりかいわれ大根がサンマになったり。
中には生まれ変われずに「別の場所」で「保留・待機」してるのかもしれないし。

カオルが気に入らんのは「人間に生まれ変わるのが最高」みたいな考え。
「徳を積まないと犬畜生・むしけら」になっちゃうよなんてのが最もおぞましい考えに想える。
少なくともかいわれ大根は幼女虐待しないぞ。株さんは株でマネーゲームしないぞ。
犬も畜生もむしけらも汚職したり保険金殺人したりしないぞ。
カオルにはどう考えても彼らの方が「マトモ」に思えるのだが。

もしもカオルが生まれ変われるのならば
癌細胞に生まれ変わってヤツらの腐ったタマシイを喰らい尽くしてやるわ。
それか「エイズ・エボラウイルス」級のすげーウイルスになってガンガン分裂して
「悪人」だけが死亡する生命体になってやるわ。グハハハハ。
でもホントはネコがいい。優しいお婆さんに飼われて縁側で日なたぼっこ。
ネコらしいシンプルな名前を付けられたまに煮干しをもらう。とても素敵だ。
お。「精子に生まれ変わる」つーのはどうだ。いいかもしんない。
他の2億の精子と競走して見事卵子をゲットして有名人になる。どうよ。生まれ変わりじゃん。

前世・来世があるにせよ。
生まれ変わりがあるにせよ。
必ず1度は死ななければならない。
これがさだめ。

死ぬのはちょっと恐いけれど
「ずっと死なない」方がもっと恐い。
この世界でたったひとつ「絶対」と言切れるのは
「生まれたいのちは必ず死ぬ」ということ。

カオルは心底「自分の死ぬ日」が知りたい。
死に方はどうでもイイ。とにかく「その日」から逆算して「人生設計」するの。
「げ。あと50年もあんのかよ。じゃこれはゆっくりでいいな。
 つーか寝たきりだけは避けないと。これ以上迷惑かけられん」
「ぬぬ。アト4日か。じゃあこれやんないでいいや。これも。毎日ライブしよう。
 そんで最後の日に泥酔しよ。最後の最後で断酒失敗ってのもおもろい」

余談だけど筒井康隆さんの小説に「九死虫」というのがある。
「9回の生まれ変わり」を約束された生命体の話。とても興味深いので是非。

確か40億年後には地球自体消滅するらしい。
そしたら我々はどこに生まれ変わるんでしょうね。明智さん。

おしまい。
   
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