新・最後のアジト




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新・最後のアジトact.32 「くわえタバコのポストマンに古い伝説を」 

「宇宙ではけむりはどこへいくのか?」と質問された。そんなの知らんけど考えてみた。
科学的には「酸素がないから火がつかなくてタバコ吸えないから煙も出ない」かなとも思ったんだが
そんな「当たり前の答え」じゃバカにされると思い「小さな惑星ができる」と答えた。
宇宙のはしっこの方にある「吹きだまり」みたいな所に各地からけむりが集まり
渦を巻きやがて塵やメタンがどーのこーので星ができるのだ。ビッグバン!
その惑星はやがて「スモーキングスター」と名付けられる人口1000人ほどの
「タバコの煙を栄養としている生物達」が暮らす平和でけむったい注意書きのない世界。
遠くからみると「煙のワッカ」が星の回りに何重にもなっていて
屈折率と海面温度の関係がどーのーこーのでそのワッカは虹のように七色で綺麗である。
生物達はいつもタバコを指に挟んでいる。その指のカタチは「ピースサイン」である。

という上記のデタラメを2行ぐらいに端折って答えた。
こんなカンジの「でっちあげ」はカオルは得意である。
つーかほとんど「煙にまいて」生きてきた。詩人とは「捏造」がシゴトでもある。

閑話休題。
カオルがガキの頃「不幸の手紙」というのがあった。ちょっとしたブームだった気がする。
知らない人のために簡単に説明する。ある日郵便受けに奇妙なハガキが届いている。
差出人の名前は書いていない。
「このハガキを受け取ったアナタは10日以内に10人のヒトに
 まったく同じ文面でハガキを出して下さい。そうしないとアナタはとても不幸になります」
こんな雰囲気のヤツだったと思う。
オレも一度受け取ったことがあるがめんどくさくて捨ててしまった。
別バージョンで「幸福の手紙」というのもあったはず。「10人に出すと幸せになる」と。

誰が「最初」なのかわからないけどオレはこのレベルは「ジョーク」として受け止められわりと好きである。
「ハガキに手書き」というのがよい。コピー&ペーストなんか出来ない時代。
これをパソコンや携帯電話のメールなんかで「カネ・ポイント」みたいのが絡んでくると
オレはいきなり嫌いになってしまう。

郵政省の昨年度決算が「大赤ぶっこいた」らしい。「郵貯部門」とかはまあまあらしいんだけど
「郵便・小包み関係」が「プロの試算にしてはあり得ないほどの大赤字」だったみたいだ。
そりゃそうだよな。チカゴロは年賀状もラブレターもみんな書かないしな。メールでしょ。
なんか送るんでも夜中も受け付けている宅急便の方が便利だしな。「試算したヒト」甘いでしょ。
ベリースイートだよ。

でね。「がんばれ郵便局」ということでカオルの曲「ラブレター」をCMで使うのは大前提として
「不幸の手紙的なモノ」を復活させたらどうでしょう。ハガキ売れるよ。
いろんなバージョンつくってさ。「恋が実ります。必ず手書きで3色以上使って」とかな。
最近のガキは「手書き」なんてしてないだろうから「想いがこもりそう」でいいじゃん。
オレけっこう郵便局好きでさ。オーディションのテープ出すときとかポストに祈ったこともある。
「手書きDM」出してた頃もポストに入れるとき「お客さん来ますように」とかな。
映画でも「ポストマン」「イルポスティーノ」とかいいのがある。
田舎を自転車で手紙を配達する風景は好きだ。「ポストの前で彼からの手紙を待つ少女」とかな。
進化しすぎちゃいけないものもあるのよ。シャレも大事だよ。

というワケで今回はそろそろ終わろうと想うのだが問題がひとつある。
それは冒頭の「スモーキング惑星」と「郵便局」をどう結びつけるかである。
でっちあげる。
スモーキングスターの人々の会話はすべて「手紙」でおこなわれる。とても静か。
「勢いで言っちゃった・じっくり考えれば別の言い方があった」とかの間違いを防ぐために。
「夫婦喧嘩も手紙」だ。時間がかかる。待ち切れず「仲直り」をしてしまう。スローライフ。
人々はいつもポケットにハガキを入れて歩いている。朝は「ハロー」と書かれたカードが飛び交う。
地面は「ハロー」や「ラブレター」でいっぱい。恋する若者がそれを拾い集めて燃やす。
「100枚集めてその煙を吸い込むと恋が実る」という古い伝説があるのだ。

おしまい。
   
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