新・最後のアジト




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新・最後のアジトact.33 「クールなパソコンと松阪牛でパーティーを」

夏の猛暑を予感させるような暑い一日だった。しかしオレのパソコンはすぐに「フリーズ(凍って)」しまう。
「強制再起動」の日々。なんだかチカゴロのオレと似ている。

我が愛用のI-book 。20世紀が終る頃たたき売られているのを買った。
時代遅れの何をするにもやたら「遅い」パソコン。その他大勢の人に「古すぎ」と言われる。

それにしてもオレは本当に「パソコン・デジタル」のことがわからない。
「ヘルプ」を見ても「解説用語」自体がなんのことやらわからない。
購入した当初は「いじくってるうちにわかりますよ。感覚で操作できますよ」と
その他大勢に言われたが全然ダメ。「壁紙を変える」と「時刻設定」しかできない。
大体「時刻設定を頻繁にしなければならない機械である」コトに問題があるのだが。

以前「 mp3を録音編集などができるソフト」をリアルロックスの糸井さんに入れてもらった。
「これでMDをもって東京まで行かんでも送信すりゃあOKじゃ。楽チンじゃ」と喜んだのだが
オレのi-bookを操作する糸井さんが徐々に凍りはじめた。幾分すまなそうに糸井さんが言う。
「カオルさん。コレの『入力端子』ってどこですかね?」
「そんなもんオレに訊かれてもわからん。どっかその辺についてんだろ」
「それが。探してみたんですが見当たらないのです。入力できません」
「あん?つーことは」「そうです。mp3使えません。音源は引き続き電車で運搬になります」
「じゃ今入れてくれたソフトは」「そうです。『ゴミ箱直行』です」
「あ。でもさ。もったいないじゃん。せっかくだし。記念に。いつか使えるかもしれないし」
「永遠に使えません。記念にとっておくのはいいですけどその分さらに『重く』なります」

我が愛しの I-bookは「製氷機・冷凍庫のない冷蔵庫」のようなモノか。
「クール宅急便で送られてきた冷凍された貴重な食材」も「保存できないからその日中に喰わなきゃ」と同じか。
ひとりじゃ喰いきれない。捨てるなんて「万死の罪」に値する。

「前略。カオルです。
 糸井さんお元気ですか?急なんですが今夜アジトでパーティーします。
 松阪牛と松葉ガニと松茸がたくさんあります。
 本来ならこんな高級なものは独り占めしてしまうのですが
 以前『 mp3 』を入れてくれたお礼に特別に御馳走します。
 REALROX主催7/16の『恵比寿スイッチライブ』打合せがてらどーすか?
 暑い日ですがダッシュでお願いします。あちょ〜」

解凍。

「機械の修理は蹴る・殴る」が「基本」だった時代は終った。オレに断りもなしに。
その昔「電話」が世界に登場したころ「電話線に荷物を結んだ人」がいたらしい。
「送れる気がした」のだろう。オレにはその気持ちがよくわかる。
「ダウンロード」もカオルには最も苦手な技術のひとつ。
「道をうなだれて歩く」カンジがしてならない。
まあ実際「ダウンロード失敗」するとそんな気分になるのだが。

チカゴロでは「光通信がふつー」になってきているみたいだ。
「夜でも大丈夫なの?」とボケるほど愚かではないが「仕組み」は100%理解していない。
「光も凍るの」?という「論旨のムチャクチャな疑問」を投げかけカオルはスリープいたします。

おしまい。
   
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