カオルの黒い交際名簿




<< liblaryトップに戻る
   
  カオルの黒い交際名簿  その1 山田晃士
   

あらすじ

ふと「カオルの自慢はトモダチがすごいことだ。
 その悪友たちについてカオルがなにか語るというのはどうだろう?
 騙るではなくてカタルのだ。カオルがカタル」

オレが墓まで持っていく個人的な秘密以外は
96%ぐらいゲリラ的に抜き打ちアップする。
いちおうの基準は「現役でウィキペディアなどに載っていて
 かつてメジャーで活躍したことがある」なカンジだ。

暴露させて頂く変わりに
「カオルの勝手にキャッチコピーなど」を無償提供します。

で。
最初の標的は山田晃士。

まずとてもよい想い出をひとつ。

オレがいまのよりも精神状態がブレていて
ライブハウス(新横浜BELLS)と
作詞家や自分のライブやプロデューサーなど
忙しくて酒浸りでぶっ倒れて幻覚幻聴で苦しんでいた時期。

晃士は言い放った。
「カオル。音楽はやめちゃダメだよ。
 それだけはダメだよ。ベルズはやめた方がいいよ」

このコトバがなければ
音楽を本当にやめていたかもしれない。
なにかの因縁か後に晃士のワンマンの打ち上げで
ひたすら酔いつぶれて結局その日を最後に酒をやめた。

その時期はたくさんのヒトにアドバイスをもらったけれど
このコトバはなぜかものすごく説得力があった。

 

なにしろ晃士とはオレが17歳でヤツが16歳で
それからずっとつるんでるからもう30年だ。
長身痩躯の山田君は非常に美少年であった。
(渋谷のコンテストに出場。前回のグランプリが山田。
 当時はスリージーラスター アルージュとしてデビュー。
 ベースのふくだじゅんが名古屋のライブに先日来てくれた)

デビューライブに遊びにいった時の打ち上げ。
デビューライブの打ち上げで小原さんもいっしょだった。
山田晃士のプロデューサーで
サディスティックミカバンドをやっていたヒトだから
いろんなミュージシャンや業界人が媚を売る。
オレはそれがなんかいやで
「おはらー。帰り送っていってやるよ。オレのトモダチが。
 ニューヨークムリ。都内愛人宅へ」
その暴言が後に小原さんの事務所内で
「山田君はトモダチが悪いねー」と話題になったのがカオルです。

ごめんなさい。

あ。
想い出した。
今は無き青山ビクターのスタジオで山田はアルバムのレコーディング。
オレは「デモテープ」を同じビルで録音。
最上階では筋肉少女隊の連中がミックスダウン。
ギターの橘高は美容室にあるような巨大なドライヤーで
レコーディングなのに髪の毛を立てている。
大槻とトシはファミコンしてたような。
「おーカオル君ひさしぶり。えーデモ録音してんだ。
 地下では山田晃士でしょ。カオル君の無料でコーラスするよ」

オレのスタジオにメンバーが乱入。
野崎ディレクター(柿島のビクター時代担当)はひたすら困惑。
地下では山田君レコーディング終了のお祝いに
サザンオールスターズ高垣部長がドンペリ3本打ち上げ。

ナルサワが晃士のマネージャーだった頃に
オレはある提案をした。
「今年の年賀状は
 公私ともども晃士をお願いします!」
ナルは却下しやがった。
(LSD成澤はカオルの初代マネージャー)

 

オレの好きな曲はチョコレートギャング。
アルバムではなく晃士のプライベート音源。
まだCDが出始めた時代で
山田晃士はラジカセを2台使ってつくった。
「ボクのオンナに手を出すなよ」
(作者の意図とは関係ないけれど
 いつでも高橋源一郎の「さようならギャングたち」を想う)

とにかくポップで新しかった。
彼はデビューして20万枚も売った。

しかしメジャーをやめて「泥沼」へ。
ポップでキッチュでモンドでB級なガレージシャンソン。

いい。
オッケーだ。
やりたいことをやるべきだ。
ジョンレノンはいう。
Life is very short.

山田は海外へいけ。
オマエは気がついていないかもしれないが
ワールドクラスの歌手だぞ。
確かにコトバの壁はあるけれど
とにかくパリだ。
パリは意欲的だ。
昨年からはじまった「精神障害者の展覧会」だが
ダサい作品は落とす。ダメなものはダメ。
歴史的に文化に対して敬意を払う国民性だし
あのダルで異様なムードと歌唱力で勝負できる。

それとシンガーなのだから
オリジナルにこだわらなくても
いわゆる名曲を山田晃士流に朗々と唄うのを聴いてみたい。
山田晃士名曲を唄う夜。

 

山田君の部屋は真っ暗でロウソクがついている。
ご存知の通りヤツは日光浴びると溶けるから。
あいつは吸血鬼の親戚なんだぜ。
等身大骸骨の人形や奇々怪々な漫画。
腹違いの双子の生き血を祭壇に捧げて
「ぼんそわむっしゅべにっしもんたれーの」と呪文。
ベラミーの鳴き声を譜面にしてうたをつくる。
曲が出来ると引き出しを開けて
ぎっしりつまった今宵のお相手を選びワインを舐める。
やがてコウモリが飛んできて告げるだろう。
「おい。トランクとシルクハットの用意。シゴトだ」

 

晃士さ。
新丸子のファミコンノートの時期は楽しかったな。
オレはさ。
「白いスーツに赤いバラ一輪のおじさん」になるからよ。

 

では。
最後に。
無断転載使用オッケー

 

右や左のジェントルマン 
たんぽぽの綿毛とジプシーの違いを知ってるかい?
ジプシーは自分の意志で動けるんだ。
さて。
伊達や酔狂ありきたりの刺激では
不感症なあなたの脳は欲求不満
甘美な泥の夢を

あそこにドラッグストアがあって
その横に看板があるでしょ。
「会員制クラブ 黒の棺」
ほとんど看板文字が消えて棺しか見えないけどさ。
そこに黒猫が眠っているでしょ。
それが目印。地下。
あらゆる電波は届かない。

入り口で「Jからきいた」と。
お薦めはドライマティーニだ。

黒マントのオトコが
あなたを素敵な悪夢に誘うだろう。

おわり

   
  topへ↑