横浜坊主




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横浜坊主 その02 「温泉旅行などに接待しご機嫌を」の巻

酒をやめた。もう3ヶ月近い。私にとって20時間と空けずに飲んでいた酒をやめるということは大事件。
それは王の楽隊による盛大なパレードをもって祝福されるべき出来事なのだが
世間からすれば別に大したことないらしい。
打ち上げでわざわざ酒ではないことを強調するためにグラスでホットコーヒーを飲んだりしても
ワインや新種のカクテルだと思われ気付かれない。ビールを注がれそうになり
「ありがとう。でもオレ....飲まないんだ。」と声のトーンをワケアリのムードに落として返事をしても
風邪気味だと思われてしまう。
初対面の娘に「昔から飲まないんですか?」などと訊かれ「うん。一滴も。」と答える。
もちろん周囲から「嘘つけ。お前ボトル1日1本空けてたろ。」などと突込まれるのを前提で言うのだが
悪友共は今夜の恋人を口説くのに夢中で私を無視。
思惑は外れ訂正する訳にもいかず私はちゃちな嘘つきになってしまう。
ギネスブックを塗り替えるべく記録に挑戦するが新聞TVはおろか一切の取材がないドミノ倒し選手のようだ。
寂しい。甲斐がない。甘やかされて育った私は努力をした分をきっちり認めて貰えないといじけるタイプなのだ。
「カオルさんが飲まないんなら自分店閉めまっす。」なんてマスターが横浜でふたり位いてもいいはずだし
モルツ営業部による「我々はカオルに飲まれたい!! ̄kaoru the again ̄」なんてキャンペーンがあって然るべきだ。
せめて近所の酒屋は私を温泉旅行などに接待しご機嫌を伺う位のことをしたらどうだ。
勧めてくんなきゃ断れないじゃんか。愛飲家に問う。過去に愛の言葉を囁いたとき
あなたはシラフだった事はあるだろうか。酔った勢いで結婚などと口走らなければ
もっと別の人生があったのではないのか。あなた自身もしくはあなたのお子様は酒の魔法による
交わりの産物なのではないだろうか。
サザンとユーミンのバラードと酒がこの世になかったらきっと人口は現在よりずっと少ないのではなかろうか。
カントリーロード創刊号表紙のコヤジご機嫌フォトになぜか嫉妬気味のカオルは
立つ鳥跡を濁しまくってバサバサッと今月はじゃあな。
   
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