Down Road
レコーディング日記




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  レコーディング日記3 「金子マリさんの巻」
   

マリさんの豪邸に到着してすぐにCDを渡した。
「そこのプレイヤーで流してくれる?」
冷や汗が2万本ぐらい出た。

数時間ぐらい前まで「オレってかっちょいいー」と
興奮していた音源がなんだか「粗が目立つ」カンジだ。
マリさんはパーラメントを吹かしながら
指先でリズムをとっている。
穴があったら入りてーだ。

4曲目がはじまった。
マリさんがオレをじっと見た。
キンタマがパチンコ玉ぐらいになった。
「カオル!」
「はい。。。」
「すげーいいじゃんか」
「え?」
「音程もリズムもピアノもダメだけど
 詩とカオルちゃんの心意気がしっかり録音されているよ。
 いいね。よし。アタシにまかせとけ。カネなんかいい。
 プロのコーラスワークを見せてあげる」

喜びよりも安堵感の方が強かった。

マリさんは「わたしが入ってよくなるのはカンケリ」と。

レコーディング当日マリさんの家に行った。
すでにドレスに着替えて準備はできていた。
テーブルの上には銀製の素敵なカタチの紅茶ポットと外国製のジャム。
「普段からひとりでも
 すごく優雅に暮らしているんだな」とオレは想った。

東京駅の内部にも詳しい。
「駅弁食べたいな。シュウマイ弁当を売ってるのは1軒だよ」
ドレスですたすた歩く。
のろいカオルはギターをもって必死でついてゆく。
使えない付き人のようだ。

現場はすごかった。
トラックダウンの時にマリさんのコーラスワークを聴いた。
驚いた。
通常は
「低音パート 中音高音」と分かれているのだが
マリさんは「3声がジグザグ」になっていて
3つが合わさってはじめて「ひとつのコーラス」になる。
プロ中のプロだ。

当日の興奮したカンジは
下記に「サイトウヒロシプロデューサーのブログ」より抜粋した。

マリさんの人柄がわかるエピソードをひとつ。

録音の時にエンジニアが録音ボタンを押すのが
ひと呼吸遅くなった。
唄いはじめの部分が欠けてしまった。
エンジニアがぶん殴られても仕方がない状況。
でもマリさんはすぐに言った。
「わたしの唄いだすのが早くてゴメンね。
 もう1度同じところからやらせてくれる?」

豊かな人だ。


http://blog.livedoor.jp/rocklegend/archives/2010-08.html?p=2

何故かプロデューサーと言う大層な立場で参加しています汗。
10年位前までレーベルのマネ事みたいな事をしていた時期もあったんですが
LOOKとだったり他の地元バンドとだったりとのバランスがとれなくなったり
結局やればやるほどどちらも中途半端になってしまうジレンマが嫌になり
ある時期を境にレーベルはおろかレコーディングに遊びに行く事も
辞めていました。
何故なら自分は『ライブハウスの人』で居ることが一番健全だと思ったから。
にも関わらず昨年の加藤卓雄といい、今回の件といい
我ながらどう言う風の吹き回しなのか、、、無責任ですね苦笑。
とは言えやる以上は自分が思うアーティスト像をパッケージしないと!!デス。

で、レコーディングですがある程度のイメージは事前にしつつ
ルックや弊社某青木(仮名)のプライベートスタジオで録ったのですが
某カオル(仮名)は特に『感覚の人』なので
突如色んなアイディアや欲求が出て来て
某青木(仮名)はその度に振り回されるワケで大変だったようですが、
でも彼にとって、いや彼こそが一番刺激的な時間だったと思います。
とは言え当然その『現場』はボPにとってもとても刺激的で

「真っ白い画用紙に何か描いているんだけど
ある瞬間いきなり凄い事になっていく予感と現実が交差する」

そんなレコーディングでした。
しかもあの!某金子マリ(仮名・ファン目線なので敬称ナシ)も
コーラスで2曲参加デス。
某マリさん(仮名)の存在感のある唯一無比の声が一声一声重なっていく様は
自分が今まで聞いて来た伝説がまさに目の前で起こっているようで
某カオル(仮名)の唄に素晴しいマジックがかかっていきました。

で、そんな某マリさん(仮名)とも少しながらお話をさせて頂いたのですが
音楽に対してここまで勉強熱心で真摯な姿勢と覚悟で向き合っている事に驚き
あの某金子マリ(仮名・ここはファン目線のため敬称なし)でさえ
未だにこんな気持ちでやってんだったら若い世代は一生追いつけねぇじゃん、
しかも女性としてもキュートで本当に魅力的な方でした。

そんなこんなで録りが終了しラフミックスをしてもらい
その素晴しい作品群にあまりにも興奮した某カオル(仮名)と
ボPはその夜
寺尾クンを呼び出し朝まで大騒ぎでした。
あの夜、あの日の出来事を誰かに言えなかったら
某カオル(仮名)もボPも放電出来ずに大変だったと思います。
深夜の呼び出しに応えてくれた寺尾クンには感謝です。

あとはどうミックスしてどう某カオル(仮名)をパッケージするか、、、
デス汗。
極論、某マリさん(仮名)のコーラスが自分が思う感じでなければ入れない。
考えただけでも重荷過ぎてオシッコちびっちゃいそうです苦笑。
でも素晴しいテイクは録れたのであとはボP&某青木(仮名)次第。
そんな素晴しい音源(自分達へのプレッシャーです汗)の発売は、、、

12/26(日) @千葉LOOK
”カオル・ワンマン”
open 17:30 / start 18:00
adv ¥2500+D / day ¥3000+D
※9/26よりローソン(L:70667)・e+・LOOK店頭にて発売

いつも思いますが凄い現場にいられて超楽しいデス。
押忍!!

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