まっしぐら




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「今回はギャグなしだ」の巻  2000.7.18

7月のある夜オレは珍しく一晩中テレビを眺めていた。台風が迫っているらしい。
最近地震も多いしちょっと気になるコトもあってな。
テレビ画面には「ニュース速報」のテロップがそこに貼りついてるみたいに
台風の進路・震源地や火山情報など多い時には10分間隔ぐらいで「津波の心配は〜」
「マグニチュード4. 2」などの文字が警告音と共に画面上に現れる。
例のノストラダムス君の大予言。あれ一年計算違いだったんじゃねぇのか?
ちょうど 今は「7の月」だし。そんな気分にもさせられる。
ニュースレポーターのインタビューに長靴をはいた地元のオジサンがロープや
青いシートで家を補強しながら「自然には逆らえませんから」と淡々と言葉少なに
答えていた。オレは3本目のピールを飲みながら爪を切っていた。
某食品メーカーの社長は食中毒事件の言い訳と開き直りを繰り返し結局辞任した。
「ゲノム(遺伝子組み換え)関連のファンドはこれから要チェックで〜す。」と
名もなきアイドルが自然に逆らった内容の原稿をひたすら棒読みしていた。
金属バットを振り回した17歳の少年が逮捕され精神分析医達が鑑定を始めた。
モザイクされた夫婦とその愛人が高価そうな衣装を着た芸能人達に裁かれていた。
台風が関東を通り過ぎたその朝テレビ局前の路上から晴れた空をバックに
完璧な化粧をしたアナウンサーがプロ野球の結果を笑顔で伝えていた。
その画面の奥で金髪の少年達が何かの暗号のようにピースサインと奇妙なポーズで
手を振っていた。予告編だけが面白いサイコミステリー映画のような一日だった。
オレはよっぽど「犯人がわかっちゃいました」と言ってやろうかと思った。
虚脱感。無力感。ゴメン。今回はギャグなしだ。
だって全てが誰かの仕組んだ大掛かりな冗談みたいじゃねぇか。
最後に " 頭脳警察 " というロックバンドの歌詞を一部無断引用し
このため息のような拙文を終わりにする。

〜ぶち壊せ 電気牧場をでもミルクはおいしいさ 懐かしいあなたのマシュマロの唇が
 あなたがたの心の中に黒く色どられていない処があったならすぐ電話をして下さい 〜
   
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