異聞録7
「秘密がひとつ増えるたび ボクらの距離は近くなる」
「愛の言葉と合言葉を知らないヤツに扉は開けるなよ」
「時々すべてが無意味に思える それでもボクらは唄をつくる」
「夜のにおいが好きだから一晩中遊んでた お世辞なんて使う暇はなかった」
「昔はよかったなんて冗談でも言いうなよ とっくに始ってんのさ新しいゲームは」 |
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〜カオル ジェネレーションズより |
したっぱの毎日は大変だ。得意先でヘコヘコしたり貰えもしない年金をむしり取られたり
使えないガキの尻拭いをさせられたりおバカな上司の無茶なオーダーに振回されたり。
朝のホームではOLも教育者もマネージャーも店員も役人も紙屑のように実も蓋も一緒に
満員電車に押し込められる。誰もがよく訓練された兵士のスタイルでじっと目を閉じている。
おいみんなどうしたんだ。革命するんじゃなかったのか。それとも骨抜きにされちまったのか。
とにかくそれじゃあヤツらの思う壺だぜ。ボスはオマエの大好きな食べ物も知らないんだぜ。
オレ達はガキの頃ロックを聴いて拳を振り上げた。世界を変えることなんて簡単にできると思った。
でも現実はそうでじゃなかった。どうにもならないほど醜くて巨大だった。こんなはずじゃなかった。
でつぶやく。「仕方ねえなこれが現実だ」と。「現実は厳しい」ということを知るのは大切なことだ。
事実を知る。対策。行動。それがオトナだ。敵がわからなきゃ闘えない。
でもそれと「現実は厳しいから闘わない」というのは違う。それはオトナではなくアホだ。
オトナは自分の「身の程」を知りそれに合った武器をもって闘う。何のために?
オレは自分の理想とその夢の世界をけがすヤツらをぶっ飛ばすためだ。武器はピアノ。
スズキ君は家族のためネコのトロ君は日当たりのいい場所を確保するため。
最後のアジトとは秘密を分け合い傷を癒し明日も闘えるような勇気とエネルギーを補充する場所。
12月26日身の程知らずに吠えるカオルを見て愛すべきしたっぱ達はこうしちゃおれなくなるであろう。
横浜のチンピラ詩人「 kaoru 」初のソロCD。
「文系ロック」という耳慣れないジャンルだが聴けばすんなり納得。
歌詩がココロの痛いところを恥ずかしがり屋の呪いのようなスピードで
チクチクするのでBGMにはなりにくい。
タイトルどおり夜の魔法が残っている時間帯にひとりでこっそり聴くのがベスト。
たどたどしいピアノ。落書きのような唄声。
待ち合わせの時に仕方なく注文するコーヒーような唄にうんざりしている人はぜひ聴いて欲しい。 |
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