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闘病日記#2

2004 8/17(tue) 18:40pm  窓を開けてないのでわからないが雨の音がするようだ。
    
前回の文章を書いてから「人はどうして鬱」になるのかをお勉強してみた。
ただ「カオルはとてもつらかったです まる」みたいなのでは
進歩がないと 思ったからだ。
泥縄式であり(泥棒を捕らえてから縄を結う の意。おせーよって事。)
資料も古いので現在はもっとわかっているかもしれないが
自分なりにまとめてみた。
bbsにも書いたがあくまでも個人的な「タダでは転ばない的」検証作業であって
読み物として成立するのかもわからない。
とにかく次の鬱の波を未然に防いだり復活を早めたりするために文章化してみる。
今回これを書くために医学書などいろいろ調べたが
テレビ「あるある大辞典」のホームページが情報も新しく
わかりやすかったと思う。
鬱を理解するにはそちらを見たほうがいいのかもしれない。
   
この文章は日記というより「自分のためのコラム」に近く
ものすごく長くなりそうなので眠れない夜にでもどうぞといったところか。
もし記載事項に間違いがあったり新しい情報などがあったら遠慮なしに
bbsやメールで突っ込んで欲しい。
できるかぎり専門用語を使わず主観にならないように
事実のみを記すようにがんばってみる。
   
では。はじめます。
   
慢性的に鬱な人や鬱状態にある人の脳を調べてみると全員が
セロトニンという脳内ホルモンの分泌が悪かったり
それを排出・取り込む器官に 異状がみられるらしいです。
つまり乱暴にまず結論から言ってしまえば
脳医学的には「鬱病とはセロトニンの分泌が悪いと起こる病気」ということになります。
ではセロトニンというのはどういう脳内ホルモンかというと
「安心感やリラックス・癒された気分になっているときに分泌される
 精神安定剤とよく似た分子構造を持つ脳内ホルモン」です。
ちなみにセロトニンはタバコやお茶にも少量含まれているらしいです。
「落ち着くための一服」というのはまるで根拠のないことではなかったわけですな。
   
セロトニンというのはリサイクル型の脳内ホルモンです。
公園などの噴水と同じように吹き出したあと下の池に溜まり
それを再度汲上げてまた水をシュワーっと出す。という感じらしいです。
約8割方をリサイクルし2割を捨ててその失った2割分だけ再生産するという
ちょっとケチな仕組みになっております。
鬱病の人や継続的にストレスを溜めている人はセロトニンがうまくリサイクルされず
2割以下しか再生産されなかったり再取り込みする器官が目詰まりを起こしていたり
ひどい状態になるとその再取り込み口自体が消滅してしまうらしいです。恐ろしい。
   
次にちょっとストレスについて。
人は不快な状態がつづくとノルアドレナリンという脳内ホルモンが分泌され
ストレスを感じとても嫌な・息苦しい気分になります。
ただどういう状況がストレスになるのかは個人差がかなりあります。
例えば満員電車で強い不快感を感じる人もいれば
満員電車でエッチなことをしてストレス発散する悪い輩もいます。
人と話すことが苦手でストレスを感じる人もいれば
わいわいがやがや世間話・愚痴などでストレス発散する人もいます。
とにかくここでは「人は不快な状況がつづくとノルアドレナリンが分泌され
 ストレスが溜まる」と考えてください。
そんでもってストレスが溜まってくると人は癒されるための行動をとります。
脳医学的にはセロトニンが分泌される行動をとるということです。
ノルアドレナリンをやっつけてリラックスした安心した状態になろうとするわけです。
簡単に言ってしまえば「会社で上司にこき使われ得意先に下げたくもない頭を下げ
帰りはギューギューの満員電車に押し込められる」という
ストレスパッツンパツンの状態で家に帰って来るとします。
すると人は家についてとにかく楽チンになれる行動をとります。
先に述べたように人によって様々ですが音楽を聴いたりペットと遊んだり酒を飲んだり
テレビを見たり甘いものを食べたりパチンコをしたりゲームをしたりなどです。
中には不幸なことに弱い者イジメをしたり倒錯した性行為をしたり
ネット荒らしをしたり暴力や八つ当たりなどの
反社会的な行動でしかストレスを解消できない人もいますが
「人はストレスが溜まるとセロトニンが分泌されるであろう行動をとる」になります。
抗うつ薬というのはセロトニンの濃度を上げ少量でもなんとか安心感をえられるように
するクスリらしいです。
ふう。なんとなく一行あけます。
   
こんな実験をしたらしいです。
ケーキ大好き人間に集まってもらいます。
その中にはセロトニンが正常に分泌されている人と異状がある人が半分づついます。
それで大量にプチケーキを用意して満足したなと思うまで食べてもらいます。
すると正常な人は2〜3個で満足したのに対しセロトニン異状の人達は
際限なく食べてしまったそうです。
際限なく食べるということはかなり依存度が高いということです。
あとで詳しく検証しますがカオルの場合はそれが酒でした。アルコール依存症なのです。
つまり「受けるストレスに対してセロトニンの分泌が悪いと鬱病になりやすい」です。
もっと乱暴に言うと「ストレス解消のヘタな人は鬱病になりやすい」です。
セロトニンが枯れ果て日々蓄積されていくストレスがうまく解消できず
溜まりに溜まって限界に達するとココロのシャッターがガッシャーンと下りて
人は機能停止し鬱状態になるのです。
   
次は心理学的に「鬱とはどういう状態か」です。
ココロにはメーターもないし血圧のように数値化することが
とてもむずかしいらしいのです。でもむずかしいネーじゃ仕方ないので
精神科医達は鬱病と判断する基準を設けました。
これは「2000年版 今日の治療薬 南江堂」などからの引用です。
専門用語などは( )してなるべく分かりやすくしました。
現在はもっと新しくなってるかもしれません。
   
1抑うつ気分(厭世感・憂うつ・泣く・悲哀感)
2興味・よろこびの消失
3体重減少・または増加
4不眠・または過眠
5精神運動制止(思考・会話・人と関わるのが苦痛・昏迷)または焦燥(あせり)
6易疲労性(疲れやすい・性欲減退)頭痛・倦怠感
7無価値感・罪責感(自分を責める・無意味・全ては無駄じゃなど虚無感)
8思考力減退・決断困難・自信喪失感
9死についての反復思考
   
それで上記の症状のうち
「1と2を含む5つ以上の症状が2週間以上連続している状態」を
鬱病と判断するらしいです。
さらに各項目に1〜4段階ぐらいの度合いを設定し総合的に判断するらしいです。
例えば9の場合ですと「自分は生きている価値がない」を1点とし
「自殺企図・自殺未遂」などを最高の4点とする。なんて具合です。
当然ですが自殺に成功した人は鬱病どころか死んでいるので最高は自殺未遂ですな。
カオルの場合全部当てはまりました。
特に2・4・7・9が非常に強かったように思われます。
   
他に鬱病になりやすいタイプとして
完璧主義者・細かいことでくよくよする人・気が小さい人などらしいです。
どのくらいが小さいの?かとか完璧ってどの程度?なんて突っ込まないでください。
そこまではカオルにもわかりかねます。常識的な判断をお願いします。
   
さて最後に「カオルの場合を検証する」です。
しかしここまで一気に書いてきたカオルの脳はすでにパッツンパツンです。
夕方から書き始めて現在1:11amです。飯も食ってねーです。
「あんた。もういい加減にして寝れバー。
 ちょっとよくなったからってムリしてまた鬱病になっても知らないヨー」です。
じゅーじゅーわかっております。でもカオルは完璧主義者です。
書きかけのまま放っておくといつまでも気になって次に進めないのです。
それに文章を書くという行為はとても疲れるのですが
やり終えたときに深い満足感を得られるという行為でもあるのです。カオルの場合。
なので間をとってシャワーを浴びて参ります。ちょー。
   
まだ髪濡れてますがはじめます。気になるので。
   
さてカオルは基本的にストレスをあまり感じない暮らしをしていました。
「めんどくせー。うるせー。かんけーねー。あちょー。」と生きてました。
多少のストレスはあったのでしょうがビール一本ぐらいのアルコールとロックと
反社会的な行動などで充分セロトニン出してました。多分。
   
ターニングポイントはライブハウスに勤めだしてからだと思います。
この頃は作詩・プロデュースなど裏方的下請けの仕事もやリはじめました。
下請けなので慣れない敬語を使ったり頭を下げたりするようにもなりました。
夏だというのに靴を履いたり目上の人の前ではタバコを我慢したりなど
30年以上経験しなかった世界に入っていくのです。
またライブハウスにいると月間約百バンドぐらいのバンドと接することになります。
上司や先輩などから「てきとーに手を抜いたりしないと身が持たないよ」などと
忠告されるのですが完璧主義のカオルは手抜きの方法がわからず
そんなことはほぼ不可能なのになるべく公平にアドバイスしようとします。
むしろダメバンドほど熱く語ったりするわけです。
でストレス解消のために飲むわけです。
そして飲みながらも「言い過ぎたかな」などとくよくよ気にするわけです。
で加速度的に酒量があがっていくわけです。
いちばんひどい時期は毎晩バーボンのボトルを1本あけてました。
店では社長に次ぐ年長者だったので部下は強く止められません。
原価で買えるしカオルが帰るまで閉店できないという状況も火に油を注ぎました。
で当然倒れます。酒とケンカして勝った奴はいません。
合計3回病院行きになるのですがそれでも酒を辞めることができません。
(このあたりの状況は中島らもさんの「今夜すべてのバーで 講談社文庫」という
小説を読んで欲しい。その主人公と50歩100歩の状況だと理解してくれればよい。
読み物としても非常に質が高く多分カオルがどんなに一生懸命書いても
その小説よりよいものが書けるとは思えないので)
   
3度目の時は酒の他に睡眠薬や安定剤をかじるといった無茶苦茶な日々でした。
さらにオムニバス2枚組10アーティストのプロデュース&早朝レコーディング&
売れるものを作るというプレッシャーのかかる作業を通常業務以外にも任されていたので
相当強くストレスが溜まっているのを自覚しました。
このときは夏だったのですがやたらと髪が抜けたのを覚えています。
そして秋になりオムニバス発売記念ライブのあと緊張感がほどけ倒れました。
酒が飲めないほど身体が弱っていたし安定剤をもらいにいく気力もありませんでした。
それでこの際両方止めようと思い最低限の食事とともに横になってすごしました。
ここからが地獄の始まりです。アルコールやクスリの血中濃度が急激に下がったため
48時間から72時間ぐらいのあいだに離脱症状・震顫妄想の症状が出ます。
よかれと思ったことが裏目に出たわけです。
特にクスリは段階を踏んで止めないとダメだったのです。
カオルの場合は幻覚・幻聴・手の震え・漢字がうまく書けなくなるでした。
最初はずいぶん夢がリアルだなあという程度でしたが
だんだん夢と現実の区別がつかなくなり被害妄想などが強くなってきました。
例えば夢の中で読んだ漫画3巻の続き4巻を現実の本棚で探したり
ノラネコとテレパシーで会話したりアパートの天井が実はマジックミラーで
2階の人が監視しているなどです。最後には「銃声がする。オレを狙っている。」と
警察に電話をかけ結果病院に保護されるわけです。
だんだん現実感を取り戻したあと医者に宣言されます。「地獄はこれからです」
「この幻覚を止めるクスリの副作用には軽い鬱があります。そして酒とクスリという
 逃げ道をなくしたあなたは副作用がないとしても強い鬱状態になります。
 どんな気の強いヤクザ者でも経験上この時期にたいてい根を上げます。
 この間創作活動などは絶対にムリなので出来なくても自分を責めないように。 
 そして酒は飲まないように。」
   
半信半疑でしたが本当に苦しい鬱状態になりました。
起きてから寝るまで無意識のうちに今までついた嘘を思い出せるだけ思い出してみたり
一日中眠れずコタツで過去の失敗を反省・自己嫌悪になったり
オレはなんて無価値でろくでもない人間だろうと考え込んだりです。
あんまりツライので酒を飲もうと思います。でも飲んだらダメです。
小銭を握りしめて酒屋の販売機の前を1時間ぐらいウロウロします。
そのまま帰ってこれる日もありますがたいていは買ってしまいます。
そして一口飲んだ瞬間に後悔しまた自己嫌悪です。
結局朝起きてから寝るまで「酒を飲むか飲まないか」だけを考えています。
幻覚はなくなりましたが素面で現実と向かい合うのにまだ慣れず
「現実的なこと」がココロにちくちく刺さります。
それでもなんとか週2回ぐらいライブハウスへいくのですが仕事になりません。
最低限のことだけしてあとはずっとため息をついていました。
ネコを抱いているときだけが少しだけ楽になれました。
これが最初の鬱です。半年ぐらい続きました。どうやって治ったのかは思い出せません。
担当医が高飛車に喋る先生でそれが嫌で2月には医者にいくのを勝手に止めてます。
この間3本のライブをやったのですがいずれも苦しいだけで
始る前に一口飲んだ酒で吐いたりもしています。
   
こんなツライ思いをしても結局酒は止められませんでした。
休みの日はウイスキーのポケット瓶を隠して持ち込んでパチンコを一日中してました。
そしてこのままでは本当にダメになると思ったので酒のある環境から脱出するために
音楽活動に専念するためにライブハウスを辞めました。
そして近所に酒屋がないところを探して引越しました。
純粋に音楽活動だけを再開するにあたりなんの後ろ盾もないカオルは
頭を丸めたつもりで「酒辞めたから協力してちょ」と仲間のところに相談に行きました。
自力では止めきれないと思ったので精神科医で「抗酒剤」を処方してもらいました。
このクスリは少しでも酒を飲むと気持ちが悪くなるクスリです。
それから今日まで二年と四ヶ月酒は飲んでおりません。
しかし依存症とはカナシイ病気です。生きている間は治らないのです。
死んだ時はじめて「あの人は結局○○年も飲まなかったんだネー」と言われるだけです。
そして何年止めていても一杯飲んでしまえば逆戻りです。
テレビではひっきりなしに酒のコマーシャルをやっているし
コンビニでは二十四時間酒が買えます。断酒者には厳しい社会です。
   
二回目の鬱は一年前の五月中旬。この頃は専門学校の講師業などもしていたり
海賊・山賊版のために100枚以上のMDチェックなどをしていた。
完璧主義者のカオルは生徒にも出来るだけ公平に接しようとしていて
そろそろムリが出始めたころ。スケジュールもMD・学校・ライブ・学校・ライブなど
とてもハードでさすがに脳が悲鳴を上げた。しかし期間は短く抗うつ剤を処方されたのも
よかったのかそんなにひどいことにはならなかった。ただ忙しいだけでなく
この期間は得るものも多くCDが完成したりサブマリンデイズを書き上げた喜びなども
多い。専門学校も一科目授業を減らしてもらったのでココロの負担はかなり減った。
   
三回目は同じ年の九月。その頃の日記にも書いてあるが以前の上司と言い争いをし
勤めていたライブハウスを無期限出入り禁止になった。
この頃は人間不信になりがくんと落ち込みとにかく全然眠れなかった。
ひたすら暗い部屋でウーウーうなってた。食事もほとんど摂らなかったので
体重がけっこう落ちた。医者から処方されるクスリもこの時期から格段に増えた。
親友がパクられたりして心配でしょうがなかったことも原因のひとつ。
   
そして今回。引越しで環境が変わったのせいもある。
病気が続き特に帯状疱疹の「五時間おきにクスリを飲む」がストレスで
睡眠がグチャグチャになっている。そしてレコーディングのプレッシャー。
この間に他のアーティストにも曲を提供したりしていてけっこう忙しかった。
で五月の鬱病に突入していくわけです。
   
オレは完璧主義で気が小さいクセしてちょっと調子がいいと
なんでも引き受けてしまうというか断れないというクセがある。
空腹でレストラン入って沢山注文して食べきれませんでしたといったケースと同じ。
   
さて結論めいたことを書きますが今後カオル君は安請け合いせず
リップサービスをせず基本的に即答は避けましょう。
それと酒・パチンコ・クスリ以外に健全な依存対象を見つけましょう。ですな。
今回何件か病院を回ったのですが「新しい健全な依存対象をみつける」というのは
かなりむずかしいらしいです。依存症の治癒率は30%以下らしいです。
まあなるべく余裕でダラダラやっていこうと思います。
    
この文章は個人的に素人が書いたものなので自分や友人に当てはまったとしても
「鬱病だあ」と決めつけるのは2重の素人判断であり早計で危険です。
もっと違う病気かもしれませんので専門医に相談することをお薦めします。
前々回「肉体労働は鬱に効く」と書きましたがこれは鬱初期には当てはまりません。
外へ出られるようになってからです。
最近は精神科やメンタルクリニックも増えてきました。
中にはクスリだけガンガン処方してハイサヨナラというところも多いらしいです。
健全な医者の目安として「年3〜4回の血液検査をするかどうか」らしいです。
   
空も明るくなってきたのでこの辺で。
つづく(続くのか?!)
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