その他/黒猫探偵事件簿

 
 
File No.01
「コーラ事件の考察」
 
 

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2003年2月22日「コーラ事件」についての考察。

去る2月22日わたしはある悲喜劇的事件に遭遇した。
コーラ事件である。(日記2/22「詩人の試練」参照)わたしはこの加害者無き不幸な出来事に
なにか深遠で運命的なものを感じてしまった。なぜそれは起きたのかを様々な角度から考察してみようと思う。
今回はたまたま「コーラを布団の上に」だったが
それは「お茶をパソコンに上に」や「VXガスを実験室の床に」であってもそれはおかしくない。
そして明日はキミに起きるのかもしれない。そう悪魔はいつだってチャンスを狙っているのだ。


事件のあらすじ

2003年2月22日風邪をひいて寝込んでいたわたしはとてもノドが乾いていた。
熱も下がり甘いものを飲みたくなったので近所の自動販売機で数本ソフトドリンクを購入した。
家に戻りコーラを飲むが手を滑らせ布団の上にペットボトルを落とす。
シーツはびしょ濡れになり熟睡中に突然コーラシャワーを浴びたネコはパニック状態で部屋中走り回る。
グラスを割り灰皿をひっくり返しギターを倒す。
途方に暮れながら掃除機をとりに行こうと歩き始めたわたしは
タオルの下に隠れていた風邪薬の瓶を踏み転倒することになる。


考察1「それはお前がボケだからだろ」

通常わたしはシャープとは言えないまでもそんなにボケではない。
しかし風邪をひいていたあの日は寝起きでもあり神経の繋がりが悪くとてもボケであった。
風邪をひいていなければコーラは買いにいかなかったし手を滑らせることもなかったはずだ。
(わたしは貧乏なので自宅ではコーヒーやお茶を飲み基本的に外から飲み物を買ってくる習慣はない。
ではなぜ?は考察2で述べる)わたしはなぜ風邪をひいたのだろう。
それは日々のうがいを怠っていたし体内に侵入してきたウイルスを退治する免疫力が低下していたからだ。
免疫力が落ちているのは不規則で自堕落な暮らしをしているからである。
うがいをしないのは面倒くさいからである。
どうしてそんな「自堕落で面倒くさがり」の人間になってしまったのかというと
遺伝子と後天的環境が大きな原因である。
わたしは少年の頃たとえばジミ・ヘンドリックスの歪んだギターの音にしびれた。
小鳥のさえずり・川のせせらぎ等の対極に位置するあの音にしびれてしまったのだ。
普通の人間であれば騒音と感じてもおかしくないその音を
「カッコイイと感じる遺伝子」がわたしにはあったのだ。ドラムを壊すキースムーン・
消火器をまき散らすsaybow・奇妙なメイクの清志郎・観客を罵倒するジム・モリソン。
そういう「ロック的」なモノに夢中になったガキは往々にして反抗が美徳だと信じこみ
「うがいなんてダサいぜ」や「平凡な日常に中指立てろ」と叫び髪を染めたり伸ばすようになる。
バイトをサボり夜遊びをし金がないので酒・タバコや錠剤などで空腹を満たす。不健康で怠惰な日々。
そんな暮らしを「ロックだぜ」と御満悦のおバカな遺伝子。反省はあとにして考察を続ける。
ではその遺伝子はどこから来たのかというとわたしの両親からである。
わたしを産んだ女とやっちまった男が出逢ったからである。
後に父母と呼ばれるふたりが魅かれ合い性交渉を繰り返した結果わたしが産まれた。
それぞれの遺伝子を引き継いでわたしの自堕落なパーソナリティの原形は作られた。

余談だがわたしは髪質を褒められることがある。でもこれはわたしの手柄ではない。
たまたま「現代では綺麗とされる髪質」になるように遺伝子が配合されていたに過ぎず褒めるなら
その遺伝子を褒めるべきであろう。
当たり前の話だがその両親(父母)にもそれぞれ親(祖父祖母)がいる。
わたしの両親も祖父祖母達の遺伝子がミックスされている。さらに祖父祖母にも必ず親がいて
その親の遺伝子を引き継いでこの世に生まれてきた。繰り返しだ。
その遺伝子は大正・明治・江戸時代をさかのぼり縄文を越え
ネアンデルタール人・クロマニヨン人・ジュラ紀・白亜紀・氷河期と(順不同)ずっと繋がっている。
脈絡も親もなく生命は誕生しないからその調子で地球に最初の生命が誕生した日まで繋がっている。
わたし達の遺伝子には40億年分の記憶と情報が刻み込まれている。
もしかするとわたしがコーラをこぼすハメになったのは地球上に生命が誕生した日から
すでに決まっていたのだろうか。



考察2 「何でコーラなんか買ったんだ」

もしあれが炭酸ではなく水やお茶だったら噴水のように飛沫が飛ぶことがなかったので
ネコには命中せず被害はもっと少なかったかもしれない。
少なくとも布団はベタベタすることはなく乾かせばすぐに現状復帰は可能だった。
なぜわたしはコーラを買ってしまったのだろう。
風邪をひいていたので通常よりもノドが渇いていたからだが「風邪」に関しては考察1で述べたので省こう。
お茶には飽きていたし栄養補給のためサプリメント系飲料やとにかくわたしは甘いものが飲みたかった。
酒を浴びるほど飲んでいた頃は甘いものを欲しくなるということはなかったのだが禁酒して以来
無性に甘いものが欲しくなることがある。
一説によればアルコールで摂取してた脳の栄養分であるブドウ糖が
禁酒により足りなくなっているからだそうだ。ということは酒を辞めたのも原因のひとつだ。
ではなぜわたしは酒を辞めたのだろう。

それは死の危険を感じるほど体調は悪化していたしアルコール依存症による他人への迷惑・記憶の欠落
・かさむ酒代による生活の窮乏等に嫌気がさしていたからだ。ではどうしてアルコール依存症になったのか。
対人関係やライブハウス勤務でのストレス解消で飲む・
多額の印税によるひとりバブル的好景気で調子に乗り仲間を連れて飲み歩く
・バンドマンと日々打ち上げで飲む等の暴飲の結果であろう。
ライブハウスに勤めたり印税を貰うようになったりバンドマンと打ち上がるのは
やはり音楽と出会ったからである。これも考察1に帰結するので省く。
とにかく先にあげた種類の飲料水は家にはないので外に買いに行くことになる。
サプリメント系飲料を1本とココアを2本。甘そうなオレンジジュースを1本。そしてダイエットペプシを選ぶ。
もともとの選択肢にはコーラはなかった。しかしそれを見た瞬間に欲しくなった。
その日病床で読んでいた村上春樹の小説にダイエットペプシをおいしそうに飲む場面がある。
たぶんそれをサブリミナル的に覚えていたのだろう。

ではなぜわたしは村上春樹の小説を一度読んでいたにも係わらず再度読んだのか。面白かったからである。
それを面白いと感じてしまう遺伝子がわたしにはあったのだ。
当然これも考察1に繋がっていく。
そして村上春樹がそんな優れた面白い小説を書くようになったのは
彼自身に考察1的な「村上春樹をめぐる遺伝子」の物語があったからであり
ダイエットペプシを作った人間にもわたしの家の近所に自動販売機を設置した人間にも
個人的な遺伝子の歴史がある。40億年続いている生命の営みと絶えることなく生き延びた遺伝子の物語。
もしわたしの仮説が間違っていて人類は例えば他の星の生命体俗にいう宇宙人が
生み出したり作ったりしたモノであってもなぜ宇宙人がそれをすることになったのかを
同じ理屈でさかのぼっていける。
ではどうして地球に生命が誕生したのだろう。そもそもどうやって地球は宇宙空間に出現したのだろう。
残念ながらそれ以上さかのぼる知識も気力も現在のわたしにはない。
風邪をひいているからだ。ではなぜ風邪をひいたのかというと........
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