薫風丸夢日記



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カオルは「過去に自分が犯した殺人」がバレそうになる夢というのもわりと見る。
「実家の裏の路地に埋めた死体」がなにかの拍子で地表に出そうでビビってる夢など。
でも「人を殺すシーン」というのは一度も見たコトがないと想う。
「なぜそんな事件を起こしたのか」などの「理由」も 
「夢の世界」では明らかにされていない。そして「バレたコト」もないのだ。
とにかくこのタイプの夢をみたあとは心臓の鼓動が早くなっている。
そして「本当はやっちゃったんじゃなかろうか」と起きてしばらくは自信がない。
ほとんど「あらすじ」を忘れてしまうのだが 
今回は「鮮明に覚えている夢」を書いてみようと想う。

さあ。はじめましょう。

薫風丸夢日記4 「殺人」

カオルは河原の土手を歩いている。その土手は「幅の広い塀」のように高くて長細い。
アスファルトではなく雑草が生えている。所々に名もなき白い花が咲いている。
カオルはひたすらただ歩いている。
すると目の前に「鮮やかな紫色の花」が群れて咲いてる場所がある。
それは「殺人現場のチョークの人の形」で咲いている。
カオルは焦りだす。「ヤバい。コレはオレが殺してヒトを埋めた場所だ。
こんなにハッキリと紫に咲いてたら絶対にバレてしまうぞ。困った。
花を引っこ抜いてしまおうか。いや。死体が根っこに絡まって出てきちゃうかも。
とにかくこの場を立ち去るしかない」
川の方を横目でチラリと見ると釣りをしているヒトや 
ボート遊びをしている人達がオレの方を指差してなにか言っている気がする。
何食わぬ顔で直進するしかないな。ゆっくりと散歩するように。

しばらく歩くと前方に「大きな裂け目」があるのを発見する。
豚のような動物がジャンプして飛び越している。失敗して土手から落ちるヤツもいる。
まずいなあ。飛び越せる自信はないし落ちるのは嫌だし引き返したら逮捕される。
しかし立ち止まるわけにはいかない。なんだか歩きにくいぞ。地面がぬかるんでいる。
うわ。泥だらけだ。足が地面に沈んで歩きにくいぞ。うわ。すごい勢いで後ろから豚が。
ドドドドドとものすごい音を立ててオレを追い越していく。
しかしなぜ豚はこの沼地のような土手をあんなに速く駆ける事が出来るんだろうか。
すごい数の豚だ。ほとんどがジャンプ失敗して落ちていくじゃないか。
まずいなあ。

後ろがどんな様子なんだろうと振り向くとドアがある。
開けて入ってみるとビジネスホテルのような部屋だ。
泥を落とそうとバスルームを探すがすでに足は綺麗だ。靴も汚れていない。
ベッドに寝そべると天井がないの気がつく。たくさんのライトが見える。
ライブハウスや劇場のような。周りの壁は「はりぼて」だ。
バスルームのドアも窓も全部ペンキでベニヤ板に描かれた絵だ。
オレは「劇場の舞台」の上にいるんだ。天井のないベニヤ板で囲まれた四角い空間。
きっと客席の観客は「中世の貴族たち」だ。聞き慣れない外国のコトバが聞こえる。
意味はわからないけれど「紫色の花の下の死体」について話しているに違いない。
どうしようと慌てているうちに周りの壁が花弁が開くように四方に倒れる。
案の定客席は貴族たちでいっぱいなのだけれど誰もオレの方を見ていない。
オレは舞台の隅から降りていちばん近いカーテンをくぐる。
赤い絨毯が敷いてある細長い廊下に出る。
そこを歩いていくしかないのだが廊下の先は「紫の花の場所」なんだろうな。
そう思いながら躊躇しているうちに目を醒ました。

こんな夢。
起きてしばらく混乱していた。
この夢は「フルカラー・重低音サラウンド」だった。
「豚の走る音や客席の声」の臨場感。廊下の赤い絨毯や紫の花。
見たのは熱い寝苦しい夜だった。
「夢だ」と理解してものすごく安心したのを覚えている。

ふと想ったのだが。
こうやって「回想・書き記す」ことによって脳にインップットされ 
また「同じ夢」を見ちゃうんじゃないかと。

おしまい。
 
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